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美輪明宏さん

2026.08.22

梅雨明けは夏の訪れです。東京の梅雨明けは7月20日ころだったようです。

梅雨が明けるちょうど1か月前、6月20日に美輪明宏さんが老衰で亡くなりました。91歳でした。

ジブリ映画「もののけ姫」で山犬神モロの声で、「黙れ小僧!」とアシタカに言い放った場面が鮮烈な記憶として蘇ってきます。

しかし、「山犬神モロの声の人」では美輪さんの紹介にはならないでしょう。

美輪さんは、1950年代から歌手として、俳優として、そしてそのような枠に収まりきらない存在として異彩を放ち続けた方でした。

亡くなったことが、何か奇妙にさえ思われる美輪さんは、長崎県長崎市で生まれ、そして育ちました。81年前の夏も長崎で生活していました。10歳でした。

今年の夏は戦後81年目の夏です。81年前の8月9日には長崎に原子爆弾が投下されています。

この時、美輪さんも被爆しています。髪の毛が抜ける、貧血で倒れるなどの放射線による症状は後年まで残っていたようです。何度も体調を崩し、余命宣告をされたこともあったようです。

長崎では、熱線、爆風、高熱火災、放射線の急性障害によりその年の12月までに約7万人以上の方が亡くなり、この81年で死亡者数は約20万人となっています。

8月6日に原子爆弾が投下された広島では、その年の12月までに約14万人の方が亡くなり、この81年で死亡者数は約35万人となっています。

一方で、死を免れた人たちは、いつか自分も「原爆症」(放射線による障害)を発症するのではないかという、目に見えない恐怖におびえながら、同時に「なぜ自分だけが生き残ったのか」という罪悪感を背負うという、逃げ場のない葛藤状況に置かれ続けました。

美輪明宏さんの話からずれてしまいました。
「黙れ小僧!」の後、美輪さんは山犬神モロの口を借りて、「お前にサンの不幸が癒せるのか」と続けます。これは、「本当に私たちの苦しみが理解できるのか」と言っているように、私には響きます。

精神科医 野瀬 孝彦