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当院からの発信について

2024/05/21

 当院は、「地域精神科医療の拠点になる」という理念に加え、なるべく当院の活動を発信し、問題の多い精神科医療の現状の改革に寄与したい、という思いも持っています。いろいろな研修を受け入れているのは、研修自体へのご協力というだけでなく、当院の理念を知ってもらうという意図もあるからです。当院にも、種々の厳しい状況の中、いろいろな問題があり、お手本になるなどという大それた考えはありません。批判もいただいた上で、ともに現状を変えていく力になれればと思っています。
 当院関係者には外部でもいろいろ活動して改革を目指す意欲を持っている人が複数いて、公表もされています。いろいろあるのですが2つだけ例示します。

1つは理事長の富田によるもので、今報道でも問題になっている、旧優生保護法に基づく差別的な強制不妊手術に関連し、精神科医が過去において果たした役割について謝罪する声明を、日本精神神経学会が出したのですが、その中の歴史的分析の資料部分を執筆しています。(https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/houkoku08_r.pdf)
もう1つは私、中島で、「第5次精神医療」という雑誌の編集委員をしていて、第13号で「精神科における医療の質」という特集を編集し、種々の意見をとりあげました(https://www.mcmuse.co.jp/psychiatric/)。
関心のある方はお読みいただければ幸いです。

院長 中島 直

差別と偏見 (中絶に決まっています) 

2024/05/13

そして、昭和40年代が終わるころ私は田舎に帰り、単科の精神科病院に就職しました。

ちょっとした事件がありました。統合失調症の方が妊娠されたのです。ご主人も統合失調症でした。そのとき院長から看護師全員に「どうすればいいと思う?」という質問がありました。私は、家族の方がサポートできて、ご本人が産みたいと思ってるんだったら産むべきだし、サポートが全く望めないとしたら無理かもしれないと思っていたのですが、「中絶に決まってます」とある看護師さんが言いました。その方はずっと長く村の保健婦さんとして活躍していらした方なのですけれど、その方がそんなふうにおっしゃって、驚きました。

昭和15年にできた国民優生法(ドイツのナチスの断種法と同じように、「劣悪な遺伝子を持っている人たちの中絶と不妊手術はすぐにしましょう」というような法律)でその劣悪な遺伝子の中では精神病および病的性格が第一に書かれていました。村で優秀なだった保健師さんの頭の中には、精神病院に入院しているような人の遺伝子は残してはならないということがしっかり刻み込まれていたのだと思います。

看護部顧問 坂田 三允