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「あなたのために」と「私のために」‐②

2024/11/11

引き続き40年以上の前の話ですが、そのときは私が悪いなんて思っていなかったです。躁状態に面と向かっていっちゃいけないなど学んだ記憶はなかったですから、私は真面目に応対したのになんでこんなことになるのよって怒っていました。ですから、次の日、報告して「もう隔離してください」と言いました。主治医は隔離してくれました。でも、そのときに「君のためにするんだからな」と言われたのです。
その意味を私は長い間分かりませんでした。反省もしていませんでした。そしてそのときから、とにかく夜中に起きてくる患者さんには、向こうが何か言う前に追加の眠剤を渡していました。眠れないと言われたわけでもないのに「はい飲んで」と。眠れないのがつらいだろうから患者さんは早く寝かせてあげようと眠剤を渡していたのは、私が大変な思いをするのが嫌だったからにすぎないんだということが分かったのはずいぶんあとのことでした。とても恥ずかしく思いましたし、患者さんに悪いことしたと思います。でも、やってしまったことは取り返しがつかない。後に生かすしかないんですね。
何かの行為をするときには、ほんとにこれは患者さんのためなんだろうか、私のためにやってないだろうかということを吟味しながらやらなければいけないということなのだと思いますし、何かにひっかかりを感じたことを手がかりに自分の行いを振り返ることもとても大切なことだと思っています。

看護部顧問 坂田 三允