「最も重要な事が、最も難しい」
2026.08.15
皆さん、こんにちは。私は当院で看護副部長兼リスクマネージャーをしております、村上朋仁です。
ブログを書くのは約2年ぶりになりますが、どうぞよろしくお願いいたします。
早速ですが皆さん、日々の業務の中で手指衛生をする機会は多くあるかと思いますが、きちんとできていますか?そしてWHOが発信している5つの手指衛生のタイミングはご存じでしょうか?①患者さんに触れる前②清潔操作の前③体液に曝露された時④患者さんに触れた後⑤患者周辺の物品に触れた後に、手指衛生をするタイミングがあります。この5つのタイミングで完璧に手指衛生できています、と自信に満ちた方は少ないのではないでしょうか。
先日、小平保健所と東精協の感染症対策担当者連絡会議にそれぞれ参加し、他の施設がどのように職員の手指衛生回数を増やす取り組みをしているのか、学んできました。廊下に大きな矢印が書かれており、その先に消毒剤が置いてある施設。ドアノブいっぱいにバイ菌をイメージしたシールを貼っている施設。さらには、映画ローマの休日に登場する真実の口というオブジェに手を差し入れると手指消毒液が出てくる工夫をしている施設など、興味深い取り組みが、いくつか紹介されました。これらはナッジ理論と呼ばれ、望ましい行動を無意識のうちに選択しやすくする手法です。どの施設も試行錯誤しながらアイデアを出し、感染対策を講じている事を学びました。
さて当院は何ができるか?さすがに真実の口は準備できませんが、皆が手指衛生をするではなく、手指衛生をしてしまう、となる事が理想です。例えば、当院は扉に鍵がかかっています。職員は扉を鍵で開けるのではなく、扉の前にある消毒液をシュッと出して消毒しなければ扉が開かないと言うのは、どうでしょう?仕事を始める前に、手指衛生という仕事をしてもらう。いいアイデアだと思いませんか?しかしこれは相当な設備費用がかかりますので、難しいですね。当院はポスター掲示や手洗い研修など行っていますが、やはり一時的な効果であって、持続的ではありません。当然、戦略的な活動も私一人ではできません。院内のリンクナースと共に、職員に声を掛ける、手指衛生場面を直接的に観察する、消毒薬の使用量のデータを取るなど地道な活動を続けていくしかありません。そこにナッジ理論も取り入れながら。
結びになりますが、病院で起こる感染症の多くは、医療従事者の汚染された手が原因と言われています。手指衛生は基本的で、最も重要な医療関連感染対策であり、すべての医療者に強く推奨されています。これが最も難しいですが、いい手を見つけていきたいです。
看護副部長兼リスクマネージャー 村上朋仁

