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「怖いものは怖いんです」

2024.03.11

学生時代の実習のとき、私が最初に受け持った患者さんは統合失調症の方でしたが、(病院から)出たいという思いでいっぱいで、嫌だ、嫌だと言いながら徘徊していらっしゃって、私たち学生が鍵を預かっているのをよく分かっていて、ポケットから鍵を取ろうとなさったりする方だったので、取られたらどうしようという思いがあってとても怖かったんです。ある時「怖いから何となく近づき難くって」と言ったとき、ご担当の先生から「あなたがそんなふうに思っていたら患者さんは絶対に近づいてきてくれないよ。知り合えない、出会えない」と言われてしまいました。頭の中では私も、私が怖いと思って近づかないんだから向こうだって近づいてくれるはずがないと思ってはいたのですが、それではどうすればよいのかがわかりませんでした。

 今でも怖いと思うときはあります。でも、怖いと思うときに無理やりかかわろうとすると、「はいはい、あなたさまのおっしゃるとおり」というふうになってしまうか、上から目線でガッと強く命令するかしかないように思うのです。怖いときには平静の心ではかかわれないのだということがよく分かって、遠く離れたところから恐る恐るかかわり始めるしかないのかなと思ったりもしました。それでも、怖くない人の後ろに隠れて少しだけ顔を覗かせて、「私もここにいるわよ」というようなメッセージを送り続けることをしながら、少しずつなれてはきているのですが、とても大柄な興奮状態の男性の患者さんなどは、やっぱり引いてしまいます。いけないことかもしれないのですが、私にはできませんと言うしかない。そのようなことを抱えながら失敗ばっかり続けて、なんで失敗したんだろうというか、私がしたことはこれでほんとによかったんだろうかということを考えながら、今がある。そんな感じがします。

                         看護部顧問 坂田 三允