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「あなたのために」と「私のために」‐①

2024.09.20

私たちは患者さんのためにいろいろなことをしているつもりでいます。でも、よく考えてみると、それは病院のためであったり、病棟のルールに縛られているだけのことであったり、私のためであったりすることもまれではないような気がします。少なくとも私は患者さんのためといいつつ、私のためにやっていることがあるなあと思います。
今から40年以上前の話で、これはもう100%、完全に私が悪いのですけれど、躁状態の患者さんと議論をしてエスカレートさせてしまいました。議論をしてと言うと聞こえがいいのですが、議論どころの騒ぎではなくけんかです。
その患者さんが夜、眠るころになって「おなかが空いたから何か食べさせろ」と言ってきました。正面切って「何もありません」と答えました。「ご飯が残ってるはずだろう、おにぎり作ってこい」「ないです」と何度も言い合い、終いには「駅前にこれから車で行ってラーメン食いに行こう」「冗談じゃない」という話になり「さあ、もう寝ましょう」と話を打ち切りました。それで終わったと思っていたのですが、とんでもないことでした。すでに眠りについていた患者さんを全部起こして「何か食い物はないか」って聞いて回ったんです。起こされた患者さんたちに「看護婦さん、何とかしてくださいよ」と言われて、大変な目にあったのです。

看護部顧問 坂田 三允