患者さんの言動には必ず意味がある-それは衝動行為ではなかった-①
2024.08.01
統合失調症で強迫行為がとても強く、入浴時にはシャンプーとリンスの大きなボトルと石けんの新しいものを1個使い切るまで出ることができない患者さんがいらっしゃいました。病院にはお風呂が一つしかなかったので、入浴日には男性と女性が途中で交代して入るという方式をとっていました。女性が先に入る日に、その方が交代まであと1時間しかないというときに入浴されました。「あ~、間に合わない」と思ったのですが、毎日入浴できるわけでもありませんし、その方はもともとあまり入浴ができる方ではなかったので、ある意味ではご自分からされるのはよいことでもありましたから、そのまま様子を見ることにしました。1時から3時までが女性で3時ちょっと過ぎから5時が男性という流れの日だったのですが、男性が入る時間になっても上がってこられません。「男性の時間だから出て」「いいですよ、入ってください」「そういうわけにはいかないので出てください」「大丈夫です」「大丈夫じゃありません」というやりとりを何回も繰り返すことになりました。男性もだんだん「風呂に入らせろ」と騒ぎます。「ちょっとごめん、待っててね」と言って、4時、だんだん夜勤帯も近くなります。ずっと待っているわけにはいかないということで、医師とも相談して、看護師3人と医師の4人で毛布を掛けてむりやり引っ張り出しました。
看護部顧問 坂田 三允